2006.2仕入れ旅 前編 ジョグジャ・ソロ編

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今回の仕入れ旅はジョグジャからソロ、ラスム、クルックを経てマドゥラまでジャワ島東半分を縦断しようというもの。いつものチレボン、プカロガンはちょっと飽きたので。
旅のメンバーは、この人なくしてたびうさぎの仕入れはできないというくらいお世話になっているバリ在住染織家Sさん、国立バティック研究センターの草木染バティック研究者にして草木染バティック工房経営者H氏、いつもお願いしているベテランドライバーのTさん、そして私の4名。
買ったバティックについては、旅のメモとともに紹介していこうと思う。前編ジョグジャ・ソロ編、後編ラスム・クルック、マドゥラ編、今回はまず、前編。

泊まりはハイアット・ジョグジャ。あのアマングループのホテルがNO.1で、ジョグジャでは2番目というランクらしい。低層で、回廊状になっているので、高層・箱ホテル嫌いにとってはありがたい。昔なじみのドミより、バスフォームの泡のなかで極楽極楽とつぶやけるホテルの方がいいに決まってる。

ホテルを出てまず小手調べは、モダンなバティックで知られているアルディアントにいた方がはじめた、やはり同じ流れのモダン系バティックA。ジャカルタのお金持ちを顧客に抱えているというだけあって、値段は高い。ATBMだけどコンビナシの3mシルク生地が1万8千円もする(写真1)。たびうさぎで売るとなると、3万円は軽く越す値段だ。今ひとつ感覚があわないが、とにかく買わなくてはならないので、7〜8枚購入する。京都の呉服屋さんが着尺地を頼んでいるということで、親父が染め上がった反物を見せてくれる。京都でいったいいくらで売ることになるんだろう、50万以下ということはないだろうなどと思ったりする。

次の工房Bにたびうさぎでも着尺地の染めを2本頼んでいる。この工房は同行H氏主宰の草木染工房。着尺地の1本はチレボンでロウ描きし、ここで染めたもの、もう1本はロウ描き、染めともこの工房。半年前に頼んでいたものだが、染めも終わりほぼできあがっている。感動するほどのできではないが、まずまず合格点かといったところ。手許に届いたらプカロガンで染めている2本とあわせ紹介するつもり。このB工房は、ほぼ100%草木で染めている。写真にみえるように藍は木藍(ナンバンコマツルギ)。染め剤のサンプルをもらう。ここのバティックの良さは、草木ということもあってやはりやさしい色合いで、反面デザインは今ひとつ。ロウ描きも手がいいとはいえない。チレボンなどでロウ描きしここに持ち込んで染めだけやるというケースも多いようだ。他のエリアでは逆に安定した藍染ができなかったりするので。手描きバティックが多いがチャップと組み合わせたコンビナシバティックもある。チャップ職人の手さばきがプロっぽい。20枚と少し買った。

午後は、H氏の紹介のRS.それなりに高く、買えるものは少ないが4枚ほど購入。なかでは、野蚕糸バティックが面白い(写真2)。インドネシアの野蚕は黄金の繭で知られたクリキュラくらいしか知らないが、タッサーに近い感じで、クリキュラとは違う感じ。クリキュラの布は、今回たまたまH氏の友人が扱っていたので、帯地を手に入れた(写真3)。セリシンの部分に黄色成分があり、完全に精錬すると白っぽくなってしまうということで、精錬の度合いを調整し、黄色味を残している。やはり、黄金の繭であるタイ種もカンボウジュ種の糸も、精錬前は黄金色に輝いているが、精錬後はわずかに名残をとどめるのみで、ほとんど白に近い色になってしまう。

本日の最後はちょっと古いものを扱っているというショップ。住宅街にあって、看板もなく、事前に打合せをしておかないとたどり着けない。H氏も地元であってもこの店は知らず、携帯でやりとりし、迎えにでてもらってようやくたどり着く。オーナーのオバサンらしき人がケースの鍵を開けると、あるある。5枚くらいずつの束ねられた紐が外されると、もう部屋中古いジョグジャバティックだらけ。もともと、中部ジャワ系バティックは好きというわけではないが、年月を経て色もこなれ、手にしっとりとなじむバティックを見ているとついつい入り込んでしまう。なんだ結局好きなんじゃんというわけか。丸一日みていても飽きないくらいだ。オバサンは、こいつは買いそうとにらんだのだろうか、愛想良く、どんどん広げるが、時間がないので、なかでも気にいったものを20枚ほど選び出す。草木染バティック専門家H氏が、モチーフの名前と染めをラベルに書いて張ってくれる。おなじみのカウン、リリス、パランなどの文字が並ぶ。ほとんどがソガと藍による染め。周囲からは、趣味で店をやっていると思われているようだが、私も一応商売人、売る立場でみたとき、今どきのものに比べてはるかにいいものなのに、こんな値段でいいのというくらい安く感じられる。有名某Bハウスのショール1枚で何枚も買えてしまうほど。プライス・パフォーマンスは高い。買い占めるぞ、いずれ。ところで、たびうさぎの売値は、原価=仕入値段に店の維持経費をのせ、布そのものの持つ価値を加減し、総合的に勘案して決めている。だから、最低でも現地購入価格の2倍以上の値札をつけないと採算がとれないということになるのだが、この古いジョグジャバティックの売値は仕入値段からすると少し高いものとした。布そのものの持つ価値が高いと判断したからだ。以上第一日目終了。

2日目30Kmくらい離れたイモギリへ。ジョグジャ土着バティックがいまでもつくられている。ただし化学染料。値段はたいして違わないのに、昨日見た古いものとは全く違う。こっちの方がいいというひともいるだろうが、ちょっとがっかり。でもバイヤーとしては、買わなくてはならない意識が働いて、そこそこの枚数を買ってしまう(写真4,5,6)。残りそうだな。ショップのある場所はジョグジャの王族の先祖が祭られている廟への道の脇にあり、結構参拝者が行き来している。インドネシアは共和制だし、王様なんて過去の存在だろうと思ってH氏に聞くと、ジョグジャでは今でも王族は尊敬の対象であって、大統領は遠い存在でも、王様は身近な、しかし庶民とは一線を画した存在なのだそうだ。バティックにも禁制模様があるし。昨日手に入れた禁制模様の大きなパラン模様のバティックは、H氏によると間違いなく王族につながる誰かが手放したものだそうで、王族も余裕がなくなりつつあるのだろうか。また、禁制模様のバティックも、まあ王族と一緒の席でなければ、庶民が身につけても差し支えないものになったということなのだろうか。

で、結局いまもののジョグジャバティック工房はパスして、昨日の古いものを扱っているショップの近くの、やはりアンティークを専門とする店に向かう。やはり数はすごい。おまけに、北岸系の古いバティックも続々登場する。E.V.Zuyrenという北岸オランダ系バティック工房で最も有名な女性の作品もあるという。本物ならぜひとも買わなくてはならないところだが、Sさんと何枚かチェックしていくと、確かにサインは入っているものの、どうもコピーくさい。値段を聞くと楽勝で買えそうな額。彼女のものが何万円で買えるとは思えないし、もちろん買うのはやめにする。(帰ってから文献を調べると、にせものはたくさんあるらしい。まねたつもりでも、E.V.Zeyrenとつづりを間違えたサインもあるという。)でも、他のものは昨日のショップと同じく素晴らしい。こなれた赤の美しいティガヌグリ。H氏によればこれこそかってのムンクドゥの赤で、残念ながら、いまこの赤を出せる工房はないそうだ。藍もソガも美しい。そうこうしているとチレボンモチーフでおなじみのガンゲン模様が現れる。珍しい縦半分のパギソレ。結構昔のもののようだ。チレボン製かと思いきやH氏がバニュマスとのご託宣。また、花の色がはででパギソレの華麗な布が気になったので見ていると、H氏、Sさんホウコウカイ、クドゥンウニ製と鑑定。ホウコウカイにしてはえぐくない。結局ティガヌグリ3枚、ホウコウカイ1枚、バニュマサン1枚と、20〜30年もののジョグジャ20枚ほど手に入れる。で、2日目終了。

3日目は朝からソロへ移動してソロバティックを見るつもりだったが、古いものをもう少し見たくて予定変更。昨日のアンティーク専門店に向かうこととする。オーナーのオバサンはもう大歓迎の様子。ひと月分の売上目標2日で達成といったところだろう。結局、ちょっと古いジョグジャバティックを20枚強買い増す。茶道具用の風呂敷などにしたら、びったしの布が何枚もあり、気に入ってくれそうなお客さんの顔が浮かぶ。
結局、ジョグジャは思いもかけずアンティークのいいものを買えたので大満足。いまものは、うーんというところか。

ソロまでは1時間半くらいで着く。ブンガワンソロで知られる古都。ジョグジャが京都なら、ソロは奈良にたとえられる。そのわりに街はふつう。私が行ったことのあるジャワ島の町で、好きなのはチレボン・インドラマユあたりで、ジョグジャ・ソロを含めあまり印象に残るところはない。もっとも、観光はほとんど車のなかからのみで、バティック屋のみ尋ね歩いている私に町の印象を語る資格はないか。ちなみに、ソロ川はソロに来たことがある人がそろっていうように泥川。四万十川とは大違い。

街中のバティックショップは見てもしょうがないので、H氏の案内で、そうしたショップにバティックを供給している村というかエリアであるスラゲンにいくことになる。ソロの有名バティックショップ、クリスやダナール・ハディなどのバティックはほとんどこのスラゲンで作られているという。H氏は、草木染バティック普及のためのセミナーをインドネシア各地で行い、いろんなところにセミナーで教えた弟子がいる。でも、草木染の技法を教えているにもかかわらず、草木で染めている弟子は今回皆無だったのはどういうことか。で、スラゲンで訪ねた工房も弟子のところ何軒か。

最初に尋ねたのはソロでは最高のバティックを作っていると思われる工房。ただ、値段は確かに最高だが、品質がそれにみあっているとは思えない。ジャカルタの金持ちをたくさん顧客に持つっているということで、現地価格で5万を超えるシルクバティックもざらにある。ちょっと面白いチレボンモチーフのカインがあり、値段次第で買おうかななど思い聞くとこれがとんでもない値段。Sさんがあきれたような顔をする。結局シルクバティックスレンダン付を3点買っておしまい(写真7)。

なんとなく余裕のありそうな緑あふれる田園地帯を次の店へ。田んぼのあぜの並木が至るところで風に揺れ美しい。のんびり。
やはりH氏の弟子が経営している店。格は最初の店より落ちる。店員がわんさといて、これはどうだ、こっちがいいよ、などつまらないバティックを広げまくる。まあそんなに高くないので枚数確保目的で少し買う。店員がうるさいが、ひとり気の弱そうな若い娘がいて、その娘は売り込んでこなかったので、ついついその娘の扱いになるように、2枚ほど足してしまった。(写真8,9)

ソロはこれで終わり。なんだかそっけないか。

↑●写真1
↑●写真2
↑●写真3
↑●写真4
↑●写真5
↑●写真6
↑●写真7
↑●写真8
↑●写真9

 

●たびうさぎの新入荷バティック ジョグジャ・ソロ●

写真 品番 品名 価格
5282 シルクバティック(コンビナシ103×300cm) 36000
5292 手描シルクバティック(108×250) 40000
5341 手描綿バティック(102×240) 22000
5344 手描綿バティック(102×240) 14000
5338 手描綿バティック(105×240) 20000
5358 手描綿バティック(102×260) 28000
5365 手描綿バティック(100×240) 15000
5378 手描シルクサロン(103×236) 40000
5319 クリキュラ布・帯用(40×500) 50000

 

 

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