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HENDRI SUPRAPTO 氏インタビュー 草木染バティックのいま
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ヘンドリさんは、ジョグジャにある国立バティック研究センター(BALAI BESAR KERAJISAN DAN BATIK)の職員で、草木染バティック研究開発の第一人者。 成果を実践するべく、自ら草木染工房を経営している。 たびうさぎ店主は、開店時からヘンドリさんのバティックが気に入り、作品を購入・販売してきた。 今回のジョグジャ―マドゥラ仕入れにあたり、ヘンドリさんの現地視察も兼ね全工程をともにし、その際草木染バティックへの彼の熱い想いを語っていただいた。以下はそれを要約したもの。 ヘンドリさんは1960年12月の生まれ。 ガジャマダ大学(京大のような位置づけだそうだ)で化学を専攻、その過程で染料に興味を持ったが、天然染料に興味を抱くようになったのは、天然染料の重要性を説く一冊の本に出会ってからで、以後この本の著者を師と仰ぎ、師が亡くなるとき後を託されたのが契機だという。 1984年頃のこと。 この頃すでに、ジョグジャでも草木染バティックは10%位しかなく、ほとんどのバティック工房はコスト面など経営上の理由から、化学染料を使わざるを得ない状況になっていたという。 ヘンドリさんは、ご紹介したように、国立バティック研究センターで、バティックの技術開発をおこなっているが、センターでも草木染セクションの人数は少なく、以前に較べて草木染への理解は深まっているものの、草木染に関するイベントなどに予算がつくといったところまではいっておらず、草木染を普及させる段階にはないとのことだ。 それで、自分で工房を持つことで、草木染へのこだわりを具現化するとともに、草木染セミナーをインドネシア各地で開催することにより、自分の持つ知識や技術を教え子に還元しようとしている。 セミナーはジョグジャ、デンパサールなど都市だけでなく、マドゥラ島やスラウェシ等などでも開催、その数は20回近いという。 従って、セミナーで教えを受けたバティック経営者も多く、今回の仕入れでは、こうした教え子の工房を中心に回った。 以下、筆者の質問に対するヘンドリさんの答え
草木染は自然や人間に優しいが、化学染料は人間や環境に悪影響を及ぼす。 草木染の素材は、漢方の材料だったり、食材だったりして、昔から安全が確認されている。 また、草木染布は、自然で眼に優しく映り、時がたって色があせても自然な美しさを保つ。 A赤系の色を出すのは難しいようだが、草木染の技術的課題は
堅牢度が悪く、ほかの色より先に消えてしまうことがある。 また、ムンクドゥの赤については、ロウ落としの際の熱で、赤が流れ出してしまい、いまの段階ではうまくいっていない。 染めの技術の問題もあるが、土の成分が石灰質を多く含むようになるなど変わっており、その影響でムンクドゥそのものの質も変わってきている可能性があって、その辺も問題である。 やればできると思うが、コストの問題がある。
草木染のコストは化学染料の倍以上かかるだろう。
シルク素材は布代は高いが染めはシャープで、コットン素材はシルクより染まりにくい。 ※筆者補足 ヘンドリさんの工房では、現在以下の天然染料を使っている。 それぞれの材料を分けてもらったが、そういえば石灰など水を加えると熱を持つし、出国時、入国時に問題がありそうだなと思ったので、なくなく空港に行く前に捨てることにした。 茶系のソガは、3種の木片(Jambal Tegeran Tingi)を煮出して染め液を作っている。
ヘンドリさんの工房では、藍は比較的うまく染まるが、他の工房では問題も多く、ロウ描きだけやって、あとはヘンドリさんのところで藍染めだけ請け負うということもある。 ヘンドリさんの工房以外では、ソガ系以外の色はほとんどみかけることはない。 B草木染バティックを、作り手・売り手はどう考え、買い手=お客さんはどう評価しているのか、いわばマーケット事情はどうなっているのか
ただ、草木染バティックは高く売れるということはわかっているので、染めの最後の工程で天然染料を少し使っただけで草木染バティックとして売っている工房もあり、全く天然染料を使ってないのに草木染と称しているショップもある。 ※筆者補足 一部の例外を除き、草木染バティックに関心のあるお客さんは少ないと思われる。 工房側は、高く売れればコストがかかっても作るのだろうが、まだそこまでいっていない。 皮肉なことに、今回の仕入れでは、セミナーでヘンドリさんが草木染を教えた工房主のところを回ったが、どこも草木染をやっていなかった。 マーケットがないということであろう。
みながおかまじゃないかといっているそれっぽい男性がやっている工房で、なかなかいいものだが、高い。 まねしてプカロガンでいくつかある。ターゲットとするクライアントはアメリカ人とたびうさぎのような日本のショップ。 C草木染バティックの将来、バティック全体の将来はどうなるのか
草木染に手を染めた工房でも、再び化学染料を使うようになっている。 期待したいが、期待不安半々といったところか。
インドネシア国民なら一着は持っているし、儀式などで着る機会も多い。 すぐになくなることはない。 また、インドネシアの文化は様々な価値を受容・吸収してきた特質があるので、バティックもまたそれにつれ変容しつつ発展していくと思う。 手描きバティックなども職人は減っても価値は高まっていく。 ヘンドリさんのバティックは、北岸の色鮮やかな化学染料によるバティックを見慣れた眼には優しく、ときには頼りなげに見える。 草木染バティック第一人者として自ら製作にあたり、また普及啓蒙活動にはげんではいるものの、まだ国内で普通に草木染バティックが染められ、売り買いされる状況には至っていない。 しばらくは、日本・欧米のクライアント向け商品を作る時代は続くのだろうが、所得水準が高まり、環境問題などに眼を向ける余裕が出てくれば、草木染への関心も高まり、昔作られていたようなバティックが再び見られる日がくるのでは、と期待しつつ筆をおくこととする。
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●たびうさぎ手持ちのバティック(すべて草木染、3〜9はヘンドリ氏工房の布)●
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↑写真1 |
↑写真2
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↑写真3
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↑写真4
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↑写真5
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↑写真6
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↑写真7
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↑写真8
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↑写真9
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